投稿論文 紹介
リドカインの普及に貢献した恩地裕と麻酔指導医認定委員会の"兼任"問題
松木 明知
1
1弘前大学 大学院医学研究科麻酔科学教室
キーワード:
Lidocaine
,
局所麻酔
,
薬学史
Keyword:
Anesthesia, Conduction
,
Lidocaine
,
History of Pharmacy
pp.150-162
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2022108587
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1955年にリドカインが導入されてわが国の局所麻酔の歴史に新しい頁が開かれた。アメリカで麻酔科学を研修して帰国したばかりの恩地裕(奈良医科大学整形外科教授)はリドカインの大規模な臨床研究を行い、リドカインを利用した局所麻酔の冊子を執筆してその普及に貢献した。麻酔指導医制度の発足に際して、1962年4月に認定委員会が設置されたが、恩地がその経歴、実績から認定委員に選ばれる資格は十分であった。しかし、1962年3月末日に医学部や医科大学の麻酔科主任教授のみをもって認定委員とし、"兼任者を除く"とする規定が作られて恩地は"除外"された。この問題の背景について考察を加えた。
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