投稿論文 症例対照研究
高齢者の大腿骨転子部骨折手術における抗血栓薬内服継続と術後合併症の検討
大友 純
1
,
柴田 義浩
,
緒方 宏臣
1国立病院機構熊本再春医療センター 麻酔科
キーワード:
Aspirin
,
Warfarin
,
腋窩動脈
,
血栓症
,
股関節部骨折
,
術後合併症
,
心筋梗塞
,
抗血栓剤
,
認知症
,
経口投与
,
後向き研究
,
致死的転帰
,
頭蓋内塞栓症
,
休薬
Keyword:
Axillary Artery
,
Aspirin
,
Fibrinolytic Agents
,
Retrospective Studies
,
Fatal Outcome
,
Administration, Oral
,
Myocardial Infarction
,
Hip Fractures
,
Warfarin
,
Thrombosis
,
Postoperative Complications
,
Dementia
,
Intracranial Embolism
pp.1181-1186
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2022030004
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高齢者の大腿骨転子部骨折手術症例は、抗血栓薬を内服したハイリスク患者を多く含む。今回、抗血栓薬の内服継続の有無で術後合併症の発生に有意差があるかを後ろ向きに検討した。抗血栓薬を内服した22症例、内服していない68症例を対象とした。全症例で術後出血性合併症は発生せず、塞栓性合併症は脳塞栓症1症例、腋窩動脈血栓症1症例、心筋梗塞2症例で、すべて抗血栓薬を内服していない患者での発生であった。また、塞栓性合併症を発生した4症例中3症例は認知症があり、心筋梗塞が発生した2症例はいずれも死亡した。大腿骨転子部骨折患者で抗血栓薬を休薬し手術を行った場合、術後の塞栓性合併症発生の危険性が増大する可能性がある。また、認知症のある患者は、塞栓性合併症を発生しても症状に乏しく早期発見・対応が難しい。術前から深部静脈血栓症に対し予防策を講じて早期に手術を行い、術後は塞栓性合併症が発生する危険性を念頭に置き、厳重な管理が重要と考えられる。
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