投稿論文 短報
膵頭十二指腸切除術後に内視鏡下で胃内の破損歯を摘出した1症例
安西 晃子
1
,
岡村 健太
,
水野 祐介
,
後藤 隆久
1横浜市立大学 医学部麻酔科学教室
キーワード:
胃鏡法
,
鉗子
,
胸部X線診断
,
歯牙破折
,
術後合併症
,
膵臓腫瘍
,
膵頭十二指腸切除
,
切歯
,
異物誤飲
,
粘液性囊胞腫瘍
Keyword:
Gastroscopy
,
Pancreaticoduodenectomy
,
Incisor
,
Tooth Fractures
,
Radiography, Thoracic
,
Pancreatic Neoplasms
,
Postoperative Complications
pp.297-300
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021190162
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症例は74歳男性で、膵粘液性囊胞腫瘍に対し、膵頭十二指腸切除術を施行した。抜管は、患者の強い歯の食いしばりなどはなく、円滑に行われた。抜管後、脱落歯の有無を特に意識した口腔内観察は行わなかった。翌朝、術後回診の際に患者本人より右門歯破損の訴えがあり、診察上も歯牙の破損を認めた。破損歯を誤嚥している可能性があるため、胸部および腹部単純X線検査を施行したところ、胃内部に破損歯と思われる異常陰影を認めた。患者の残存門歯の形状から、破損歯の先端は鋭利と予想された。この破損歯が再建した消化管を通過する際に粘膜を損傷する危険性が懸念されたため、内視鏡的に摘出する方針となった。この時点で1度目のX線検査から時間が経過しており、万が一、破損歯が再建部位よりも尾側にある場合には内視鏡下での摘出が困難になるため、再度胸部単純X線検査を施行し、位置を確認した。異常陰影の位置には変化なく、内視鏡下での摘出は可能であると判断され、緊急内視鏡下摘出術が施行された。内視鏡を挿入すると腎内に破損歯を認め、鉗子で容易に回収できた。その際、胃内の破損歯摘出部分やそのほかの上部消化管粘膜にも明らかな出血や粘膜損傷は認められなかった。
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