特集 産婦人科にかかわる医用技術の新たな進歩Ⅱ
Ⅱ.妊娠・分娩管理における新技術
5.胎児発育不全に対するタダラフィル(長時間型ホスホジエステラーゼ5阻害薬)の臨床効果
真木 晋太郎
1
,
池田 智明
1
S. Maki
1
,
T. Ikeda
1
1三重大学医学部附属病院産科婦人科
pp.149-154
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003300
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胎児発育不全(FGR)は,胎盤形成不全による胎児への血流低下により,正常な胎児発育が得られず,児に種々の重篤な合併症を引き起こす可能性がある,周産期領域の重大な病態である。周産期死亡率の上昇や,神経学的な長期予後に悪影響を及ぼすことが知られており,さらには出生後将来の冠動脈疾患や高血圧などの心血管疾患や,脂質異常症,糖尿病などのメタボリックシンドロームの発症が増加するといわれている。
これまでFGRに対する根治的治療は妊娠の終了以外に存在せず,分娩時期を児の未熟性と母体の全身状態のはざまで臨床的に悩まされる場面が多く存在するのが現状である。われわれはホスホジステラーゼ5(PDE5)阻害薬の1つであるタダラフィルに着目し,胎盤形成不全に対する治療効果における研究を行っている。今回,PDE5阻害薬による治療の現状および可能性について説明する。
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