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思春期の女性を癒す漢方 第4回 YUKI-ONNAと呼ばないで―冷え性の治療―
池野 一秀
1
K. Ikeno
1
1長野松代総合病院小児科・思春期漢方外来
pp.55-62
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002832
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“冷え性” は女性に多く,日常生活上の悩みを抱える女性は少なくない。女性に多い理由は,単に筋肉量の少なさだけでなく,内分泌,自律神経の不調が根本に存在するからである。冷えを感じる場所により,Ⅰ全身型,Ⅱ四肢末端型,Ⅲ上熱下寒型,Ⅳ体感異常型,Ⅴ症候型の5タイプに分類するとわかりやすい。タイプ別に原因を考えると,タイプⅠのうち全身型は漢方医学でいう「脾虚」,「腎虚」,全身の代謝の低下がある。タイプⅡは,「血虚」が原因で,タイプⅢでは,血液循環障害である「瘀血」が原因となる。タイプⅣは,「肝うつ」が原因で,ストレスを抱えている。これらの原因に照らして,温経湯,加味逍遥散,桂枝茯苓丸,五積散,四物湯,十全大補湯,人参養栄湯,半夏白朮天麻湯,苓姜朮甘湯のほか,当帰芍薬散,当帰四逆加呉茱萸生姜湯や真武湯,牛車腎気丸,八味地黄丸が処方される。さらに,コウジン末やブシ末を添加することにより効果が高まる。
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