特集 胎盤の科学がもたらす周産期疾患の新たな理解
12.エコチル調査が示す生殖補助医療と胎盤形成の関連
永田 知映
1,2,3
C. Nagata
1,2,3
1東京慈恵会医科大学産婦人科学講座(講師)
2国立成育医療研究センター病院教育研修センター(臨床研究員)
3同 研究所政策科学研究部(共同研究員)
pp.1151-1155
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002735
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生殖補助医療を用いた妊娠では様々な妊娠合併症の増加の可能性が指摘されており,前置胎盤や癒着胎盤スペクトラムなどの胎盤異常もその1つである。「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」は,環境省が2010年から実施している,国家規模の疫学調査(出生コホート調査)である。本稿では,このエコチル調査の全国データを用いた生殖補助医療と胎盤に関する研究成果についてまとめるとともに,生殖補助医療と胎盤異常の関係性について考察する。これまでの疫学研究から,生殖補助医療を用いた妊娠での胎盤異常のリスク上昇が示唆される一方,その背景にあるメカニズムについては,明らかになっているとはいえない。大型コホート研究の充実,各種レジストリデータのリンケージ,そしてデジタル医療情報の利活用により,本領域での研究が加速することを期待したい。
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