特集 知っておきたい! 合併症を伴う婦人科がん診療up to date
3.肥満患者における手術治療の留意点
近藤 英司
1
E. Kondo
1
1三重大学医学部産科婦人科学教室
pp.821-826
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002226
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肥満患者における周術期管理について,術前・術後の留意するポイント,術式の選定など実践的な管理・治療方針について述べる。肥満患者は,閉塞性睡眠時無呼吸(OSA),肥満低換気症候群(OHS),高血圧,糖尿病,メタボリック症候群,腎障害のリスクが高く,術前に循環器・呼吸器などを健常者に比べて慎重に検査すべきである。わが国でもようやく良性疾患および子宮体癌に対してロボット手術が保険収載されたため,ロボットが導入されている施設では肥満患者に対してロボット手術が第1選択である施設が多い。しかし,全身麻酔時は25°(当院)のトレンデレンブルグ体位により,機能的残気量(FRC)が20%減少するといわれており,肥満症例ではさらに減少することに注意が必要である。肥満患者は低栄養状態,抗菌薬の血中濃度,組織の低酸素化などによりSurgical Site Infections(SSIs)が増加すると報告されている。また手術の難易度が上昇し,手術時間が長くなることも原因の1つに挙げられる。本稿では肥満合併子宮体癌患者に対するロボット手術の術前・術中・術後の管理について説明する。
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