症例
胎児期に全身多発性高エコー輝度腫瘤を呈した先天性脈管異常の1例
末永 美祐子
1
,
城戸 咲
1
,
嘉村 駿佑
1
,
原 枝美子
1
,
佐藤 麻衣
1
,
藤田 恭之
1
,
加藤 聖子
1
M. Suenaga
1
,
S. Kido
1
,
S. Kamura
1
,
E. Hara
1
,
M. Sato
1
,
Y. Fujita
1
,
K. Kato
1
1九州大学病院産科婦人科
pp.793-800
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002215
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症例は34歳,2妊0産。妊娠33週に経腹超音波検査で胎児に全身性多発腫瘤を指摘された。体幹・四肢や頭蓋内に高エコー輝度の境界明瞭な充実性腫瘤が多発し,いずれも血流を認めなかった。胎児発育不全と母体に妊娠高血圧腎症の合併があり,妊娠35週に自然分娩で1,590gの女児を出生した。出生時所見で,頂部が暗青色で弾性軟な皮下腫瘤が多発しており,画像所見からも多発静脈奇形を疑った。月齢3の生検も静脈奇形の病理像であったが,腫瘤が縮小する非典型的な経過をたどった。本症例は脈管異常(脈管性腫瘍・脈管奇形)のいずれの疾患に該当するか診断困難であったが,胎児期で全身多発性に高エコー輝度腫瘤を呈する病態はほかになく,血流の有無にかかわらず,先天性脈管異常を疑うべき所見である。
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