特集 卵巣癌におけるHRDとPARP阻害薬の効果
企画者のことば
松村 謙臣
1
Noriomi Matsumura
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001712
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
近年,卵巣癌(腹膜癌と卵管癌を含む)に対して,PARP阻害薬であるオラパリブおよびニラパリブが保険承認されました。PARP阻害薬では,BRCA1/2遺伝子変異や相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency;HRD)がバイオマーカーになります。そこで臨床上,PARP阻害薬をどのような患者に用いるべきかを考えるうえで,DNA修復機構やHRDに関する知識が必須となります。また,保険承認された2剤の特徴を理解することも,それらを使い分けるうえで重要です。そして,既存の抗がん剤の有効性や抵抗性はDNA修復機構と深くかかわっています。しかしDNA修復機構は複雑で,専攻医や一般の産婦人科医のみならず婦人科腫瘍を専門とする医師からも,PARP阻害薬の作用機序やHRDのことが理解できないためわかりやすく解説した教材がほしいという声がよく聞かれます。私自身,DNA修復機構について勉強しようとして,何度もくじけそうになりました。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.