特集 ワクチンの安全性と社会学—HPVワクチンの接種はなぜ広まらないのか?—
Ⅱ.HPVワクチンについて
4.副反応に関する実験データの解釈
角田 郁生
1
I. Tsunoda
1
1近畿大学医学部微生物学講座(主任教授)
pp.305-314
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001661
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子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因であり,HPVワクチン接種により予防できる。しかしながら,日本ではHPVワクチンによる神経系の「副反応」とされる子宮頸癌ワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)を再現したとする動物実験系が広く報道されたことなどから,ワクチン接種率が1%以下に落ち込んでいる。本稿では,HANSという概念が国際科学誌上で認知されていないこと,HANSの動物モデルとして発表されたデータには科学的に問題があることを基礎医学の立場から解説する。また,一般的にワクチンで起こりうる神経障害の機序についても概説する。
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