❷ワクチンの副反応—HPVワクチンには失神や麻痺などの副反応があると聞いて、怖いのですが…/心筋炎って新型コロナワクチンの副反応ですか？

　2013年4月のヒトパピローマウイルス（HPV）ワクチン定期接種開始後に報告された慢性痛や運動機能障害、起立性調節障害などの「多様な症状」は、国内外において多くの解析が行われたが、ワクチンとの因果関係は示されておらず、HPVワクチン接種歴の有無で発生頻度に差がないと言われている^1）。

　世界保健機関（WHO）は予防接種ストレス関連反応（immunization stress-related response: ISRR）という概念を発表しており、ワクチンの種類に関係なく、接種前後・接種中の急性ストレス反応としてソワソワ感、不安感、呼吸困難感・過換気、心拍数増加、血管迷走神経反射として浮動性めまいや失神などを呈する状態と定義している。さらに接種後時間を置いて、解離性神経症状反応と言われる、脱力、麻痺、異常な動き、四肢の不自然な姿勢、不規則な歩行、言語障害や、明らかな神経学的根拠のない非てんかん発作を含む症状がみられることがあるとしている^2）。HPVワクチンの副反応に対する診療協力病院や、診療の拠点となる病院が各地域に設置されており、診療の一助となる情報発信も行われている^3）。HPVワクチンを3回接種していない1997〜2008年度生まれ（誕生日が1997年4月2日〜2008年4月1日）の女性に向けて、公費でHPVワクチン接種ができるキャッチアップ接種が2025年3月まで行われている^4）。ISRR予防には、接種を受ける方と接種をする医療者側との丁寧な説明・対応による信頼関係の構築が必要と思われる。