特集 ワクチンの安全性と社会学—HPVワクチンの接種はなぜ広まらないのか?—
企画者のことば
松村 謙臣
1
,
上田 豊
2
Noriomi Matsumura
1
,
Yutaka Ueda
2
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
2大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001652
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全世界で,新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が始まりました。しかしワクチンは,科学的なデータをもとに行政による判断で健康な人に接種するものであるという点で,病人に対する診療行為とは大きく異なります。すなわち,ある個人がワクチン接種を受けるのは,あくまでも行政および科学への信頼によるものであって,病気による症状からではありません。そして日本のみならず世界的にみても,ワクチン反対運動は反科学主義・自然主義・陰謀論とリンクして行われてきた歴史があります。そのなかで,一定の頻度で副反応被害が生じてしまうと,行政への信頼が失われワクチン接種者が極端に減ることで,感染症が蔓延して結果的に大きな被害が生じることがあります。
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