特集 PIHからHDPへ―妊娠高血圧症候群up to date―
5. 妊娠高血圧症候群の管理
-―母体を中心に―
関 博之
1
H. Seki
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.617-622
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000457
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妊娠高血圧症候群(HDP)は胎児・胎盤と母体との間のimmunogenic maladaptationで始まり,最終的には絨毛細胞により産生された抗血管新生因子(sFlt-1, sEng)が胎児胎盤循環系や母体循環系に移行して血管内皮障害を起こし,母体(高血圧や蛋白尿など)や胎児(FGRや胎児機能不全など)の症状を発症する。症状発症5~6週間前には,血中sFlt-1濃度の上昇とそれによる血管内皮障害は始まっており,症状が発症した時点での治療は,介入のタイミングとしては明らかに遅い。予防法や降圧療法が必ずしも有効でない理由はここにある。重症HDPは降圧療法の適応であるが,過度の降圧は医原性の胎児胎盤循環不全を惹起するので,平均動脈圧で15%程度の降圧または重症域を脱することと血圧の安定化を目標とする。重症HDPにはカルシウム拮抗薬が有用である。
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