特集 想起できるかが分かれ道! 知っておきたい母体合併症
9. 妊娠中の子宮内膜症に伴う重大合併症
平田 哲也
1
,
大須賀 穣
1
,
藤井 知行
1
T. Hirata
1
,
Y. Osuga
1
,
T. Fujii
1
1東京大学女性外科
pp.59-63
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000311
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子宮内膜症は,疼痛,不妊,悪性転化など一生にわたって女性のQOLに悪影響を及ぼす疾患であるが,子宮内膜症合併妊娠が周産期リスク,周産期合併症に関連することがわかってきた。早産,前置胎盤,低出生体重,帝王切開などのリスクが,子宮内膜症合併妊娠で増す。また,妊娠中の卵巣子宮内膜症は,妊娠中も増大することがあり,低頻度ながら自然破裂を起こす可能性もある。また脱落膜化することにより壁在結節が発生し,悪性腫瘍との鑑別が困難なこともある。妊娠中の急性疾患として,腸管穿孔,腹腔内出血と子宮内膜症の関連も明らかになってきた。これらの疾患は,事前に予見することは難しいが,判断が遅れることで母児ともに重篤な状態を引き起こす可能性があり,稀な疾患ではあるが,念頭に置いておくべき疾患である。
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