特集 想起できるかが分かれ道! 知っておきたい母体合併症
4. TSLS(劇症型A群溶血性レンサ球菌感染症)・TSS
堤 誠司
1
S. Tsutsumi
1
1山形大学医学部産科婦人科学講座(准教授)
pp.25-29
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000306
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A群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)は咽頭痛や発熱などを引き起こす一般的な細菌である。その多くは小児が罹患するが,ときに劇症化することがあり,劇症型A群溶血性レンサ球菌感染症(TSLS/TSS)を呈することがある。全世界で毎年75,000件以上の死亡例が報告されており,特に非妊娠女性に比べて,産褥女性の死亡率は20倍とも報告されている。ゆえに妊娠中の発症は,敗血症性ショックが急速に進行し,母児の死亡をもたらす可能性を認識すべき重篤な疾患といえる。本稿は,妊娠末期にTSLSを発症したが,母体を救命しえた自験例を呈示し,産婦人科医師が知っておくべき症状・所見と初期治療における実践的な管理・治療方針について概説する。
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