特集 小児科医が診る泌尿器疾患アップデート――どう診断・治療するか? 予後はどうか?
10.急性陰嚢症
浅沼 宏
1
,
佐藤 温子
1
,
大家 基嗣
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
pp.815-822
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003544
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急性陰嚢症,殊に,精巣捻転症は一度発症するといまだに40~50%の患者が機能的精巣を失っている.わが国では80%以上の思春期男子が本症の知識をまったくもっておらず,早期受診のためにも学校教育などを通じた啓発活動が必要である.早期診断・治療のためにTWIST score systemを用いた鑑別診断の迅速化と検査の効率化,超音波検査を併用した用手整復の有用性が示されている.また,症例によっては精巣白膜減張切開術とtunica vaginalis flapによる減圧手術が有効なことが報告されている.長期予後については,精巣上体炎では多くは一過性の精液異常であるが約10%に無精子症が遷延するとされ,精巣捻転症では父性獲得率は一般男性と有意差がないことが示されるようになっている.

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