症例
学童期に診断された腸回転異常症の3例
引間 叡孝
1
,
鈴木 智典
1
,
原田 篤
2
,
西岡 正人
1
1川口市立医療センター小児科
2同 小児外科
pp.702-706
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003086
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腸回転異常症は,発生過程において,原始腸管が腹腔内に還納される過程での回転異常により発生する疾患である.正常であれば,腹腔外に脱出した原始腸管が還納される際,腸管が270度以上右回りの回転をすることで,盲腸が右下腹部に収まり,大腸が上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸と腹腔内を一周する形で配置されることとなる.しかし,還納の際に回転が270度に満たないことで,盲腸が右下腹部に到達せず,右上腹部や上腹部中央に留まることがある.この場合,十二指腸と盲腸との間に異常な靱帯であるLadd靱帯が形成され,靱帯そのものによる十二指腸の圧迫や,靱帯を中心とする中腸軸捻転・絞扼性腸閉塞の原因となる.このような腸回転異常症は,その61~87%1)が新生児期に発症し診断されるが,乳児期以降に症状が出現し診断される例も少なくない.今回は,学童期に診断された3例を報告する.
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