特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
10章 自己抗体検査
4.臓器非特異的自己抗体
-――抗核抗体以外
中野 直子
1
1愛媛県立中央病院小児科
キーワード:
リウマトイド因子
,
抗環状シトルリン化ペプチド抗体
,
抗リン脂質抗体
,
抗好中球細胞質抗体
Keyword:
リウマトイド因子
,
抗環状シトルリン化ペプチド抗体
,
抗リン脂質抗体
,
抗好中球細胞質抗体
pp.1635-1638
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002870
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リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)は1940年にWaalerによって関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者が家兎γグロブリン感作羊赤血球を凝集する因子として最初に確認され1),RA患者血清で高頻度に検出されることから命名された.RFは変性(劣化して機能を失った)IgGに対する自己抗体を意味し,一般的にはIgMクラスのRF(IgM-RF)を意味する.RAでの陽性率は70~80%であるが特異度は低く,全身性エリテマトーデス,Sjögren症候群などの自己免疫疾患,結核や慢性肝炎など慢性炎症性疾患や悪性腫瘍など,さらに健常者でも検出される.そもそもIgM-RFは正常な免疫系において生理学的役割を担っており,感染防御に寄与するIgM-RFは親和性が低く多反応性である2).一方,病原性IgM-RFは親和性が高い特性をもち,さらにアイソタイプスイッチしたIgGクラスのRF(IgG-RF)はRAに特異的であり,高値である場合はRAの診断意義が高く,活動性や予後と相関するとされている3).IgG-RFと並び抗ガラクトース欠損IgG抗体もRFの早期診断に有用とされているが,どちらも保険適用はない.
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