社会小児科学
小児科領域の医療訴訟統計
桑原 博道
1
,
西岡 宏晃
1
1仁邦法律事務所
キーワード:
急性心筋炎
,
絞扼性イレウス
,
転送義務
,
賠償責任保険
Keyword:
急性心筋炎
,
絞扼性イレウス
,
転送義務
,
賠償責任保険
pp.830-837
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002663
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公の資料をみるに,小児科は医療訴訟になりにくい.診療科別の訴訟件数や医師1,000名あたりの医療訴訟件数を指標としてみても,小児科は少ない.小児医療裁判例の抽出を試みた結果,1歳以下(19事例中6)や死亡例(19事例中8)が多い.病院より診療所が少ない(19事例中2).請求認容例は多くはない.傾向として,経過が急激な症例や小児虫垂炎は訴訟になりやすい.結果が重篤な場合にこそ,憶測での説明は控えたい.また,転送義務違反や説明義務違反が争点となりやすい.説明や転送の経過の記録化が大切である.高額の賠償に備えて保険を見直すことも有用である.以上の医療訴訟対策を頭の片隅におきつつ日常診療に専心していただきたい.
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