特集 不登校
4.不登校と起立性調節障害
-――日米の対応の違い
永井 章
1
1国立成育医療研究センター総合診療科
キーワード:
体位性頻脈症候群
,
起立直後性低血圧
,
機能性身体疾患
,
NIH
,
ホームスクーリング
Keyword:
体位性頻脈症候群
,
起立直後性低血圧
,
機能性身体疾患
,
NIH
,
ホームスクーリング
pp.790-793
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002656
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
起立性調節障害は立ちくらみ,朝起き不良・午前中の体調不良を呈するなどの機能性身体疾患である.わが国ではガイドラインも整備され認知度は高い疾患であるが,米国ではわが国の起立性調節障害と同一のものは存在せず,またわが国とは違って不登校と併せて議論・認識されることはないのが実情である.身体的評価/診断面で,わが国では起立性調節障害を起立直後性低血圧,体位性頻脈症候群などを起立性調節障害のサブタイプとしてとらえているのに対して,米国では失神をきたし得る病態としての起立不耐症の概念はあるが,疾患としては体位性頻脈症症候群がメインであり,起立性直後性低血圧は認識されていない.また社会的には,米国では不登校が問題になりにくい背景もある.わが国では不登校を呈し得る朝起き不良・午前中の体調不良を呈することが多い患者を対象としながら客観的生物学的評価法を確立し,包括的に診療を行うということで発展してきた経緯による特徴といえよう.
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.