特集 子どもの自傷・自殺――小児科医にできること
1.子どもの自傷・自殺
-――基本的な考え方と近年の動向
松本 俊彦
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部
キーワード:
adolescent
,
child
,
self-harm
,
suicide
,
overdose
Keyword:
adolescent
,
child
,
self-harm
,
suicide
,
overdose
pp.1347-1354
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002374
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わが国では,児童・生徒の自殺者数は一貫して増加傾向を示しており,2020年には前年比約3割増となって戦後最悪の数値を示し,なかでも高校生女子では前年比2倍となっている.また,国立成育医療研究センターの調査からは,子どもの自傷が顕著に増加していることが示唆される結果が得られている.
本稿では,自傷と自殺の定義と鑑別点,ならびに,両者を区別することの功罪について整理したうえで,対策の課題について私見を述べた.なかでも,児童・生徒の自殺の原因・理由に関して,「不明」が過半数を占める統計に依拠した対策の限界を指摘し,心理学的剖検研究再開の必要性を主張した.
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