綜説
授乳中の薬物治療の考え方
伊藤 直樹
1
1帝京大学医学部小児科/国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センター
キーワード:
授乳と薬
,
相対乳児摂取量
,
shared decision making
,
妊娠と薬情報センター
,
医薬品添付文書改訂
Keyword:
授乳と薬
,
相対乳児摂取量
,
shared decision making
,
妊娠と薬情報センター
,
医薬品添付文書改訂
pp.1028-1035
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002284
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授乳と薬物療法の考え方が,大きく変化している.薬理学的に乳児への薬物曝露量は,妊娠中よりも授乳中のほうが圧倒的に少ない.相対乳児摂取量10%未満が安全基準として使用されており,乳児曝露量は多くの薬物で母体摂取量の1割にも満たない.実際に医薬品が児に大きな悪影響を及ぼすことは少なく,授乳と薬物療法の併用は可能である.児への影響とともに,医薬品の有益性・必要性および授乳の有益性についても説明し,母乳哺育を行うか否かの授乳婦自身の決定を尊重し支援するshared decision makingが求められている.さらに医薬品添付文書も新しく改訂され,薬剤によっては授乳の継続が盛り込まれた定型文となる.
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