目で見る小児科
非外傷性胸骨脱臼の4歳男児例
寺尾 隆太
1
,
松尾 公美浩
1
,
須貝 理香
1
,
妹尾 一誠
2
1広域紋別病院小児科
2旭川医科大学整形外科
pp.215-216
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001653
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現病歴:第1病日に嘔吐が出現し当科を受診した.胃腸炎として加療.第2病日に嘔吐は消失するも前胸部痛が出現したため,近医を受診した.胸部正面X線は異常なし.第14病日に前胸部痛持続のため当科を再診した.身体所見上,前胸部正中に圧痛,わずかな膨隆を認めた.上肢挙上時にも同様の疼痛を認めた.他の部位に皮下血腫など外傷は認められなかった.血液検査では,白血球数8,300/μL(好中球43%),CRP 0.02mg/dLと炎症反応の上昇を認めなかった.心臓エコー検査,心電図検査では明らかな異常を認めなかった.胸骨X線検査では正面像で明らかな異常を認めなかったが,側面像で胸骨体の分節に90°の転位を認めた(図1-a:矢印).単純CT検査でも同様の所見を認めた(図1-b,c:矢印).撮像範囲内に明らかな骨折や出血などは認められなかった.以上より,胸骨脱臼と診断した.
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