臨床経験
胸骨結合脱臼の1症例
小林 信男
1
Nobuo KOBAYASHI
1
1飯田市市立病院整形外科
pp.320-324
発行日 1972年4月25日
Published Date 1972/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904677
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緒言
胸骨の外傷は比較的まれであり,その骨折の頻度は,全骨折の0.1〜0.2%程度とされていた.しかし,最近自動車文明の発達に伴い,交通災害の一つとして,増加の傾向にあり,今後も一層頻度を増すと考えられる.
従来,胸骨骨折の好発部位として,胸骨結合があげられており,骨折時の転位は定型的とされている.胸骨結合の90%は関節あるいは半関節と見なされることから,このような外傷はむしろ脱臼と呼ぶべきものが多いと考えられる.しかし本邦において,胸骨結合脱臼という報告は見られない.我々は胸骨結合に骨折と言うよりは,脱臼と呼ぶべき所見のある1例を経験し,観血的治療により治癒せしめたので報告する.
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