特集 プライマリ・ケアにおける0歳児の診療—よくある訴えと診療のコツ
Ⅰ “よくある訴え”からのアプローチ
3.便に関する訴え
奥田 真珠美
1
,
佐浦 龍太郎
1
,
藤野 哲朗
1
,
齋藤 碧
1
1兵庫医科大学小児科
キーワード:
便色
,
血便
,
下痢
,
便秘
,
排便困難
Keyword:
便色
,
血便
,
下痢
,
便秘
,
排便困難
pp.1196-1201
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001436
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
乳児は便の色や性状,回数などが変化しやすい時期である.便の変化や異常に気づきやすく色や血液の混入,回数などに関する訴えは多い.便色で最も注意すべきは白色〜淡黄色であり胆汁うっ滞性疾患の重要なサインである.全身状態が良好な筋状または点状の血液の混入はいわゆる“乳児良性直腸出血”であるが,腹部膨満や嘔吐などの症状を伴う血便は救急対応が必要である.下痢が続くが全身状態・食欲ともに良好の場合は機能性下痢症で経過観察する.輸液が必要となる下痢が続く場合は難治性下痢症で適切な診断と治療が必要である.便秘は乳幼児期で多い疾患であるが乳児期早期に発症する場合は器質的疾患を念頭におく.便に関する訴えの多くは“心配のない”ものであるが,器質的疾患を疑う徴候を認識し,診療を行うことが重要である.
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.