[連載] 最近の外国業績より
循環器
日本医科大学小児科学教室
pp.97-101
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001168
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背景 川崎病は,主に乳幼児に影響を及ぼす未知の原因の急性血管炎で,未治療患者の約25%で動脈瘤や拡張などの冠動脈異常を引き起こし,日本は世界で川崎病の発生率が最も高い(5歳未満の子ども10万人あたり265人).ゲノムレベルの研究により,川崎病に対する感受性をもたらすITPKCおよびCASP3遺伝子の遺伝的変異体が特定された.これらの変異体は,免疫細胞のカルシウム活性化T細胞核内因子(NFAT)経路を介したシグナル伝達の増加につながり,過度な炎症を引き起こすと推定され,ガンマグロブリン療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)不応例および冠動脈異常の発症に対する患者のリスクにも関連していた.NFAT経路の上方制御が川崎病の病態生理の根底にあり,この経路を標的とする免疫抑制薬であるシクロスポリンが川崎病の有望な治療法であるという仮説を導いた.本試験では,IVIG不応例と予想される川崎病の児を対象に,IVIGとシクロスポリンの併用療法と従来のIVIG単独療法の有効性と安全性を比較して評価した.
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