症例
Head-up tilt試験が失神の診断と治療方針決定に有効だった1例
堀内 真帆
1
,
細川 奨
2
,
松村 雄
2
,
倉信 大
2
,
梶川 優介
2
,
森尾 友宏
2
,
土井 庄三郎
2
1東京ベイ・浦安市川医療センター小児科、東京医科歯科大学小児科
2東京医科歯科大学小児科
キーワード:
失神
,
血管迷走神経性失神
,
Head up tilt 試験
,
心停止
Keyword:
失神
,
血管迷走神経性失神
,
Head up tilt 試験
,
心停止
pp.817-820
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000092
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
失神は「一過性の意識消失の結果,姿勢が保持できなくなり,かつ自然に完全な意識の回復がみられること」と定義される1).小児の失神は日常診療でしばしば経験され,その原因は多岐にわたるが,本邦では血管迷走神経性失神(vasovagal syncope:VVS)が多いとされている.なおVVS は,最近まで神経調節性失神(neurally mediated syncope:NMS)とよばれていたが,日本循環器学会の「失神の診断・治療ガイドライン」(2012 年改訂版)で名称変更された.VVS は起立性調節障害(orthostaticdysregulation:OD)のサブタイプの1 つとして分類され,OD にはVVS 以外に,起立直後性低血圧,体位性頻脈症候群,遷延性起立性低血圧の3 つ,計4 つのサブタイプが存在する.ODの症状を改善するためには,サブタイプと重症度の診断に基づく適切な治療方針の決定が重要である.2015 年に日本小児心身医学会は「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」2)を改訂し,OD の診断アルゴリズムにおいて,新起立試験に加えHead‒up tilt 試験(以下HUT)を重要な検査として位置づけた.HUT 中の心抑制反応に伴う一過性心停止は以前から報告されているが3),小児での報告はまれである.今回われわれは,HUT の施行により心抑制型VVSと診断でき,治療の強化・変更により失神が改善した小児例を経験したので報告する.
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.