鏡視下腱板修復術後のCRPS様症状と術前の肩関節機能の関係

Relation of the preoperative shoulder function and complex regional pain syndrome（CRPS）symptoms after arthroscopic rotator cuff repair（ARCR）

要旨：本研究の目的は鏡視下腱板修復術（ARCR）の術前の所見と術後の複合性局所疼痛症候群（CRPS）様症状の関係を調査することである。ARCRを施行した410名をCRPS様症状群と対照群に分類し，身体特性や術前評価，リハビリテーションフォロー期間を比較した。その結果，24名にCRPS様症状を認めた。発症時期は術後約9週であった。性別，年齢，断裂サイズ，プロトコール，マニピュレーションの有無，疼痛，心理面に有意な差を認めなかった。CRPS様症状群は術前の関節可動域，筋力，Shoulder36，Constant Shoulder Scoreは有意に小さかった。また，CRPS様症状群のリハビリテーションフォロー期間は有意に長かった。術前の肩関節機能の低下は術後CRPS様症状の発症の原因となり，リハビリテーションフォロー期間が長期化する可能性が示唆された。術前からリハビリテーションを実施し，肩関節機能を改善することが術後のCRPS様症状の発症予防に寄与すると考える。