肘部管症候群重症例に対する単純除圧術とKing変法の術後成績の比較検討

Comparison of simple decompression and modified King’s method for treatment of severe cubital tunnel syndrome

要旨：肘部管症候群の重症例に対して単純除圧術とKing変法を行い，その治療成績を比較検討した。2013年以後の肘部管症候群の手術症例の中で，赤堀分類第Ⅳ期・第Ⅴ期の重症例で術後6カ月以上経過観察できた38例40肘を対象とした。内訳は単純除圧術が24肘（S群），King変法が16肘（K群）であった。赤堀の評価法により術後成績を評価し，ピンチ力，小指の静的2点識別覚テスト（TPD），神経伝導検査所見（小指外転筋［ADM］の複合筋活動電位［CMAP］）の推移を検討した。術後成績，術後ピンチ力，術前後TPD，術前後ADM-CMAPには2群間に有意差がなかった。肘部管症候群重症例に対して単純除圧術とKing変法の術後治療成績に差はなく，より侵襲の小さい単純除圧術が勧められる。