Japanese
English
腱・靱帯研究のフロンティア
(7)腱・靱帯付着部enthesisの維持機構
Mechanisms of enthesis formation and maintenance
二藤 彰
1
Akira NIFUJI
1
1鶴見大学,歯学部
キーワード:
Enthesis
,
Scleraxis
,
Hedgehog
Keyword:
Enthesis
,
Scleraxis
,
Hedgehog
pp.1063-1067
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001386
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要旨:腱・靱帯と骨との付着部はenthesisと呼ばれる移行的な組織であり,fibrous enthesisとfibrocartilaginous enthesisの2つに分類される。Enthesisの役割は,骨とそれにつながる組織を結合させることのみならず,その力学的負荷をスムーズにかつ効率良く伝達・分散させることである。Fibrocartilaginous enthesisは,骨,石灰化線維軟骨,非石灰化線維軟骨,腱・靱帯の線維組織の4層構造から構成される。細胞外基質としては,線維軟骨は主としてⅡ型コラーゲンを発現し,腱・靱帯線維組織と骨はⅠ型コラーゲンを産生する。骨から線維軟骨への細胞外基質と石灰化のなだらかな移行が,enthesisにおける力学的ストレスを最小化させるのに重要である。Enthesis原基にはscleraxis(Scx)とSRY-box 9(Sox9)という腱・靱帯ならびに軟骨発生に必須な転写因子が発現している。またHedgehogのターゲットである,Gli1陽性細胞がfibrocartilageへ寄与することから,enthesisの維持と再生にHedgehogシグナルも重要であることが知られている。Enthesisの維持と再生のメカニズムを明らかにすることが,enthesisに関わる疾病や外傷といった困難な課題を解決するためにも必要である。
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