Japanese
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特集 胸郭出口症候群
胸郭出口症候群と他の末梢神経損傷(外傷および障害)の鑑別ポイント
Differentiation between thoracic outlet syndrome and other peripheral neuropathy
眞宅 崇徳
1
,
池上 博泰
1
Takanori SHINTAKU
1
1東邦大学医学部,整形外科学講座(大橋)
キーワード:
Thoracic outlet syndrome(TOS)
,
Cubital tunnel syndrome(CuTS)
,
Carpal tunnel syndrome(CTS)
Keyword:
Thoracic outlet syndrome(TOS)
,
Cubital tunnel syndrome(CuTS)
,
Carpal tunnel syndrome(CTS)
pp.155-163
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000771
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要旨:胸郭出口症候群(TOS)は,疼痛や運動・感覚障害,自律神経障害など様々な症状を呈する疾患である。多くの症例で頚部から上肢にかけての症状を呈するが,脊椎脊髄疾患や末梢神経損傷と症状が重複するため,注意して診療にあたることが必要である。誘発試験は健常者でも陽性所見となる可能性があり,安易に確定診断をしてはならない。また診断に際しては,他の疾患の可能性を除外することも重要であるが,症例によってはTOSと末梢神経損傷との併存も起こりうるので,十分注意する必要がある。治療は,原則保存療法を行う。保存療法が無効な場合でも安易な手術療法は避けるべきである。特に末梢神経損傷を合併している症例では,症状の進行に応じて末梢神経損傷の原因となっている疾患の治療をまず行う。どうしても症状の改善がない例では,手術療法を検討するが,胸郭出口部で腕神経叢が絞扼されている客観的な所見(画像所見はもちろんのこと電気生理学的検査所見など)を得てから,患者に十分な説明をして行うべきである。
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