整形外科手術 名人のknow-how
機能再建を重視した母指多指症手術
射場 浩介
1
Kousuke IBA
1
1札幌医科大学医学部,整形外科
pp.1432-1437
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000663
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母指多指症は手の先天異常の中で頻度の高い疾患であり(0.5~1/1000出生),比較的多くの整形外科医が診療に携わる上肢先天異常疾患である1)。一方,術後の10~20%が成績不良とされ,重要な術後機能障害として関節偏位や不安定性によるつまみ・握り障害が挙げられる2)。関節偏位や不安定性の原因として,骨軸の弯曲や関節面の傾斜など骨や軟骨に原因があるものと,腱の走行異常や側副靱帯の緩みなど軟部組織に原因があるものが考えられる。そのため,術前の画像所見より骨軸偏位や関節面の傾きなどを正確に判定することや,術中に靱帯や筋膜・骨膜の処置により軟部組織のバランスが取れていることを確認することが必要である。一方,母指多指症手術を行う乳児期の骨格未熟時期では軟骨成分が多く,X線所見より関節の状態を正確に把握することが困難である(図1)。筆者らは,関節を展開する前に術中関節造影を行い,関節軟骨の状態を把握してから手術方法を最終決定している。本稿では温存母指の機能再建を重視した母指多指症手術について概説する。
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