大腿骨転子部骨折に対する骨接合術により上殿動脈分枝を損傷した1例

Superior gluteal artery injury in the surgery for femoral trochanteric fracture；a case report

要旨：症例は82歳男性。自転車で転倒，単純X線像で左大腿骨転子部骨折を認めた。γ型髄内釘による骨接合術を施行した。術後9日目の血液検査で血中ヘモグロビン濃度4.6g/dlと著明な貧血の進行を認め，造影CTで左殿部の血腫，血管造影検査で上殿動脈分枝からの造影剤漏出を認め観血的止血術を施行した。以降，貧血の進行はなく術後6週で自宅退院となった。大腿骨転子部骨折の髄内釘挿入時には上殿動脈分枝損傷の可能性を考え慎重な操作が必要である。