特集 Complex elbow instabilityの治療の現状
肘頭脱臼骨折の新分類と治療戦略
森谷 史朗
1
,
今谷 潤也
1
1岡山済生会総合病院,整形外科
キーワード:
Olecranon fracture-dislocations
,
Injury pattern
,
Classification
Keyword:
Olecranon fracture-dislocations
,
Injury pattern
,
Classification
pp.1113-1122
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000114
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肘頭骨折により腕尺関節が破綻する肘頭脱臼骨折(olecranon fracture-dislocation;OFD)には,前腕両骨が上腕骨に対して前方または後方に転位する2 つのタイプがある。さらに自験例の検討において,前者には近位橈尺関節(PRUJ)の構成要素に破綻のないanterior(trans)OFD(Type A-Ⅰ)と同部が破綻したanterior OFD with PRUJ disruption(TypeA-Ⅱ)が,後者にも同様にposterior OFD(Type P-Ⅰ)とposterior OFD with PRUJdisruption(Type P-Ⅱ)が存在し,計4つの損傷パターンに分類された。術前の画像所見を中心にOFD の各損傷形態を詳細に評価・分類すること,さらに術中所見も踏まえ各損傷形態に特徴的な病態を把握することで本損傷の治療方針が明確となる。OFD の治療においては,骨性・靱帯性要素の的確な修復による肘関節不安定症への進行の回避と軟部組織が菲薄な肘頭周囲の皮膚障害を予防する手術手技が求められる。
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