特集 乳癌の診断・治療
治療
乳癌に対する周術期化学療法
永井 成勲
1
1埼玉県立がんセンター 乳腺腫瘍内科
キーワード:
乳癌
,
周術期治療
,
サブタイプ分類
Keyword:
乳癌
,
周術期治療
,
サブタイプ分類
pp.561-571
発行日 2019年4月5日
Published Date 2019/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000833
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
早期乳癌に対する周術期化学療法は,潜在的な微小転移を抑制することで治癒を目的に行われている。周術期の抗がん剤投与によってRFS(無再発生存),DFS(無病生存),OS(全生存)が改善する。抗がん剤の投与用法ではdose-dense療法によって治療成績の向上が報告されている。術前化学療法では術後化学療法に比べて予後に差がなく,乳房温存術の割合が向上する。また,術前化学療法でpCR(病理学的完全奏効)が得られた場合,乳癌のサブタイプによってはpCR症例の予後がnon-pCR症例に比べて良いことが明らかになってきた。HER2陽性乳癌では術後化学療法に抗HER2療法を併用することでDFSとOSが改善する。pCRの向上を目的として抗HER2薬剤を用いた術前治療の試験が積極的に施行されている。近年では術前化学療法後のnon-pCR症例に対して,術後に抗がん剤治療を追加することでさらに予後が改善するとの報告がある。早期乳癌の周術期化学療法について,以下に最新の知見を交えて記述する。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.