- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
マンモグラフィは,乳癌検診においては死亡率減少効果が証明されている唯一のモダリティであり,我が国でも2000年に対策型検診に導入された。触知不能な乳癌,特に非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ:DCIS)の発見の契機となる石灰化は,マンモグラフィの重要な所見の1つである。乳癌検診にマンモグラフィが導入されて以降,非浸潤癌の頻度は徐々に増加し,乳癌学会の統計によれば乳癌全体における非浸潤癌の割合は2004年に8.5%であったものが2015年には14.2%となっている。石灰化の鑑別は,最終的には病理組織を推定するということであるが,それにはどこの,どのようにできた石灰化なのかを考えることから始まる。乳房の石灰化には,その形態的特徴から良性と確定できるものがあり,これらは,どこのどのようにできた石灰化なのかが画像上明らかなもの,乳癌ではとり得ない形態のものということになる。血管や皮膚の石灰化,陳旧性線維腺腫や石灰乳のように特徴的な形態を示すものが含まれる。良悪性の鑑別が必要な石灰化に対しては,その形態と分布の評価を行い,悪性の可能性の度合いをカテゴリー判定するという方法が,1999年に発刊されたマンモグラフィガイドライン以降,標準的な読影法として,特に検診では広く行われている(表1)1)。形態からは,どのようにできた石灰化なのかを,また分布からは,どこの石灰化なのかということを推測しているが,これは壊死型の石灰化は乳癌によるものであること,乳癌は終末乳管小葉単位(terminal duct lobular unit:TDLU)に発生し,非浸潤性乳癌においては基底膜内で増殖しながら1つの乳管腺葉内を進展していくという2つのことに基づいている。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.