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放射線治療抵抗性の主な元凶として,癌細胞における過剰な抗酸化酵素の産生と低酸素環境(30mmHg未満)が挙げられている1-3)。これらの要因を排除することにより,放射線療法の効果を増強させる方法がまさに酵素標的・増感放射線療法(KORTUC)とよばれている4-9)(図1)。低酸素の改善はさらに,化学療法の治療効果も増強させることが期待されている10-12)。KORTUCが施行された症例において,原発病変への増感剤注入により,照射野内の領域リンパ節転移も,原発病変と同様に著明な縮小を認めることをしばしば経験する。元来,リンパ節領域は30~40mmHgという比較的低い酸素分圧で生理的に機能している13)。それを踏まえて,リンパ節に転移を起こし腫瘤を形成した時点で,容易に治療抵抗性を示す低酸素環境に達する可能性は否定できない。それにもかかわらず,増感剤を注入した原発病変と同様な治療効果を,注入していない領域リンパ節転移で認めるのは,あたかも,乳癌のセンチネルリンパ節生検(図2)の際に生検対象となるリンパ節を同定する目的で病変近傍に注入される色素やラジオアイソトープのように,注入部分から病変が転移していくために利用したリンパ管,すなわち同様な道筋を通って増感剤が転移リンパ節に到達していると考えるとその治療効果の説明が容易で,この現象を仮に「センチネル効果」と名づけることとする。当院では6年半の間KORTUC 140例を経験し,そのうち23例が原発病変に増感剤を注入し放射線化学療法施行し,なおかつ所属リンパ節転移が疑われたもの,さらにその中の12例が当院で経過観察されている。代表的な症例を提示しながら,同12例において「センチネル効果」の可能性について探求する。
We have found that regional lymph node metastases shrunk considerably with a new radio-sensitizer injection to the primary lesion and chemo-radiotherapy. It may represent the flow of drugs from the primary lesion to regional lymph node metastases through the lymph system, like the method of finding sentinel lymph nodes in cases of breast cancer. Herein, we named this phenomenon the “sentinel effect”.
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