特集 肝胆膵外科手術における出血コントロール―出血させない技術と安全・確実な止血法
肝門部領域胆管癌手術における出血コントロールと止血の実際
野路 武寛
1
,
平野 聡
2
1北海道大学保健科学研究院基盤看護学分野 / 北海道大学病院消化器外科Ⅱ
2北海道大学医学研究院外科学講座消化器外科学教室Ⅱ
キーワード:
肝門部領域胆管癌手術
,
止血操作
,
出血コントロール
Keyword:
肝門部領域胆管癌手術
,
止血操作
,
出血コントロール
pp.425-429
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004905
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肝門部領域胆管癌に対する手術術式は,これまで種々の「標準術式」の変遷を経てきたが,現在では胆管切除を伴う肝葉切除が標準術式として広く定着している1)。肝門部領域胆管癌術後の最も重篤な合併症は肝不全であり,その発生率は17~24%と他疾患に対する肝切除に比して高率である2)。この理由として,肝門部領域胆管癌に対する手術はリンパ節郭清や血管合併切除を要することから手術侵襲が大きいこと,さらに,胆管空腸吻合を必要とするため持続的な胆管炎が生じやすく,肝再生能が低下しやすいことなどが挙げられている3)。これまでの報告により,肝門部胆管癌術後の肝不全発生には,年齢,残肝容積を含む術前肝機能のみならず,手術時間,出血量などの手術因子が関与していることが明らかになっている2, 4)。われわれは,門脈塞栓前の肝機能単独では術後肝不全による死亡リスクには大きな影響を及ぼさないものの,これに長時間手術(680分以上)および大量出血(1,900 mL以上)が加わると,術後死亡率が25%に上昇することを報告している2)。術中出血は手術手技および術中管理によって低減可能な要素である。出血をさせないことは,つまり出血量そのものを低減するだけでなく,止血操作に要する時間を最小限にとどめ,結果として手術時間を短縮することにもつながり,肝不全リスクを大きく低減させる。このように,肝門部領域胆管癌手術においては,「出血させない工夫」と「確実な止血操作の遂行」が,手術成績向上のためにきわめて重要である。

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