特集 若手外科医のための消化器外科基本手技
止血法(直視下)
亀井 敬子
1
,
阿見 勝也
1
,
登 千穂子
1
,
村瀬 貴昭
1
,
武部 敦志
1
,
松本 逸平
1
1近畿大学外科学教室(肝胆膵部門)
キーワード:
直視下止血
,
エネルギーデバイス
,
結紮縫合
Keyword:
直視下止血
,
エネルギーデバイス
,
結紮縫合
pp.1663-1668
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004669
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外科手術において止血法は最も基本かつ重要な手技の1つである。消化器外科領域では,解剖学的構造が複雑であることに加え,腫瘍・炎症・癒着などによって血流や組織の性状が変化することがある。このため,出血源の同定と確実な止血操作は手術の成否を大きく左右する。直視下での止血法は,術者が出血部位を視認し,直接的に対処する技術であり,とくに若手外科医にとっては第一に習得すべき基本手技の1つである。術中出血は,術野の視認性を著しく低下させ,手術操作の妨げとなる。結果として,出血量の増加,手術時間の延長を引き起こす。時として,止血法を誤ると大量出血や臓器不全など重篤な合併症を引き起こす可能性がある。また,止血が不十分なまま閉腹すれば,術後出血やドレナージ不良を引き起こし,再手術や入院期間の延長,さらには致死的合併症へと至る可能性がある。

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