特集 食道胃接合部癌の治療戦略と手術アプローチ
Ⅰ.総論 5)食道胃接合部癌に対する周術期薬物療法
黒川 幸典
1
,
西塔 拓郎
1
,
萩 隆臣
1
,
高橋 剛
1
,
江口 英利
1
,
土岐 祐一郎
1
1大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
キーワード:
DOS
,
FLOT
,
JCOG2203
Keyword:
DOS
,
FLOT
,
JCOG2203
pp.1375-1380
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004586
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食道胃接合部癌はもともと欧米に多く,わが国をはじめ東アジアではまれな疾患であったが,食生活の欧米化やピロリ菌保菌率の低下のためか,近年ではわが国においても食道胃接合部の腺癌が著明に増加している1)。これまで食道胃接合部癌だけを対象にした臨床試験は非常に少なく,標準的な手術術式や周術期補助療法は確立されていなかったため,胃癌や食道扁平上皮癌よりも食道腺癌が多い欧米では食道腺癌の臨床試験のエビデンスを,逆に胃癌の多い東アジアでは胃癌の臨床試験のエビデンスをそのまま当てはめて考えることが多かった。しかし,食道胃接合部癌の臨床的および分子生物学的な特徴は食道腺癌や胃癌とは異なっていることから,やはり食道胃接合部癌独自のエビデンスを蓄積して標準治療を確立すべきと考えられる。

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