特集 直腸癌局所再発に対する治療戦略と手術
Ⅰ.総論 1)直腸癌局所再発の再発形式と治療方針
塚田 祐一郎
1
,
池田 公治
1
,
長谷川 寛
1
,
北口 大地
1
,
西澤 祐吏
1
,
伊藤 雅昭
1
1国立がん研究センター東病院大腸外科
キーワード:
再発形式
,
分類
,
治療方針
Keyword:
再発形式
,
分類
,
治療方針
pp.867-876
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004452
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大腸癌研究会・全国登録2014年症例のデータによると,初発再発部位別再発割合は,結腸癌では局所再発割合0.7%,吻合部再発割合0.7%であるのに対し,直腸癌では局所再発割合3.0%,吻合部再発割合1.5%と,結腸癌に比べ直腸癌では局所再発・吻合部再発の頻度が高い1)。直腸癌術後局所再発割合(吻合部再発を含む)の経時的推移をみてみると,大腸癌研究会・プロジェクト研究1991~1996年症例では9.6%,大腸癌研究会・全国登録2007年症例では5.4%,同2014年症例では4.5%と徐々に低下傾向ではあるものの,同2014年症例においても直腸癌術後初発再発部位としては肺(7.4%),肝(5.8%)に続いて多い1-3)。また,これらのデータはわが国のなかでも先進的な施設である大腸癌研究会参加施設から集められたデータであるため,わが国全体の局所再発割合はこのデータよりも高いと推察される。さらに,これらのデータは直腸S状部癌も直腸癌として集計されたデータであるため,上部・下部直腸癌では局所再発割合はさらに高いと思われる。したがって,直腸癌局所再発はいまだに日常臨床でしばしば遭遇する疾患であり,そのマネージメントは大腸癌を専門とする外科医にとって必要なスキルであるとともに,大腸癌を専門としない外科医にとってもマネージメントの概要を知っていることは日常臨床で必ず役に立つと思われる。

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