手術手技
腹腔鏡下肝葉切除における肝門部胆管切離時のICG蛍光ナビゲーションの活用
藤永 淳郎
1
,
伴 大輔
1
,
奈良 聡
1
,
水井 崇浩
1
,
宮田 明典
1
,
江崎 稔
1
1国立がん研究センター中央病院肝胆膵外科
キーワード:
腹腔鏡下肝切除
,
ICG
,
蛍光胆道造影
Keyword:
腹腔鏡下肝切除
,
ICG
,
蛍光胆道造影
pp.1805-1811
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004113
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腹腔鏡下肝切除(laparoscopic liver resection;LLR)は肝腫瘍に対する根治性と低侵襲性を兼ねた外科的選択肢であり,わが国では2010年度に腹腔鏡下肝部分切除および肝外側区域切除が保険収載された。最新の日本内視鏡外科学会のアンケート調査によると,2021年には10年前と比較して約4倍のLLRが実施されるようになり,わが国で普及している内視鏡外科手術の1術式となった(図1)1)。また,手術手技の向上に伴って,その適応は拡大されており,従来は開腹手術が選択されることが多かった亜区域切除術や1~3区域切除などの系統的肝切除においても施行件数は増加している。近年広く使用されるようになってきたインドシアニングリーン(indocyanine green;ICG)と近赤外カメラシステムを用いたICG蛍光イメージングは,複雑な手術手技を要する系統的肝切除において,腹腔鏡下に実施する一助となっている2)。ICG蛍光法は肝区域染色法や腫瘍同定に用いられ,区域染色は担癌門脈枝に直接ICGを注入し目的肝区域を蛍光染色するpositive staining法,担癌Glisson枝の血行遮断を行ったあとにICGを経静脈投与を行い,非切除肝を蛍光染色するnegative staining法に大別される(図2)3-5)。ICG蛍光法は,肝表面のdemarcationのみならず,肝離断面のintersegmental planeも蛍光染色境界としてナビゲーション可能であることから,術前シミュレーションを術中に正確に反映できる術中ナビゲーション法として有用である。
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