総特集 外科医の働き方改革を考える
◆テーマ2:働き方改革実現に向けた具体的な取り組み 2.インセンティブ─地方国立大学病院のサージャンズフィー支給制度
内田 徹郎
1
1山形大学医学部附属病院第二外科
キーワード:
働き方改革
,
大学病院
,
サージャンズフィー
Keyword:
働き方改革
,
大学病院
,
サージャンズフィー
pp.32-36
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003668
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本格化する働き方改革を目前にして大学病院は大きな意識改革を迫られている。現在も国公私立を問わず大学病院の給与は低い。歴史的にわが国の大学病院は,若手外科医を無給の労働力として酷使することで診療を成立させてきた経緯がある。最近ではこれまでの旧態然とした大学病院の外科医の働き方を医学生や研修医が敬遠する傾向が顕著であり,ただでさえ外科医志望者が減少している逆風下に大学病院の外科医不足はもはや危険水域に達したと言っても過言ではない。とくに地方大学病院は,高度先進医療の提供,外科医の教育機関としてだけではなく,地域の外科医療を下支えする役割もあわせもつため,大学病院における外科医確保困難は地域の医療提供体制を維持することが難しくなってきたことと同義である。外科医の労働環境の改善は喫緊の問題だが,働き方改革における勤務時間の短縮によって若手外科医の収入は確実に減少し,さらなる外科医不足を助長する可能性がある。アカデミアに在籍することに価値を見出さない医学生や研修医が増加するなかで,今後何らかの打開策を講じることができない場合,大学病院は存在意義を問われるとともに衰退の一途をたどるであろうことは想像に難くない。
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