特集 上部消化管良性疾患に対する低侵襲治療戦略
特発性食道破裂のマネジメント─病態からみた手術と保存的治療の選択
千野 修
1
,
数野 暁人
2
,
山本 壮一郎
3
,
島田 英雄
4
,
小柳 和夫
2
,
幕内 博康
5
1東海大学医学部付属東京病院外科
2東海大学消化器外科
3東海大学医学部付属八王子病院消化器外科
4湘南大磯病院外科
5東海大学
キーワード:
特発性食道破裂
,
Boerhaave症候群
,
胸腔ドレナージ
Keyword:
特発性食道破裂
,
Boerhaave症候群
,
胸腔ドレナージ
pp.1371-1378
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003467
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特発性食道破裂(Boerhaave症候群)は比較的まれな疾患ではあるが,診断・治療が遅れると重篤な経過をとる重症急性疾患である。1724年オランダのHerman Boerhaaveが剖検で発見したのが初例とされており1),わが国では1935年に吉田らが報告している2)。嘔気嘔吐に伴った胸背部痛,上腹部痛,吐血などを主訴として発症することが多く,初診時に他疾患と診断されることもある。初期発見が比較的困難であり,短時間でショックに陥る症例があること,治療手技が容易でないこと,縫合不全や縦隔膿瘍・膿胸などの術後合併症を併発しやすいことなどから現在でも重篤な救急疾患である。一般的には手術が施行されるが保存的治療が可能な症例もあり,迅速な診断と適切な治療方針の選択が重要となる。
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