手術手技
TaTME手術におけるステープラー吻合再建後のreinforced sutureの有用性
榎本 浩也
1
,
諏訪 勝仁
1
,
岡本 友好
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院外科
キーワード:
TaTME
,
縫合不全
Keyword:
TaTME
,
縫合不全
pp.819-827
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002763
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TaTME(transanal total mesorectal excision)は腹腔側からのアプローチが困難なmid-low rectumの直腸腫瘍に対する手術の困難さを克服した画期的な手術法である。TaTMEでは肛門側腸管が開放されるため通常double purse-string sutureによるSST(single stapling technique)が行われるが,本法はDST(double stapling technique)におけるmultiple firing1)やdog-ear2)による縫合不全リスクがないという大きなメリットをもつ反面,経肛門的に直腸切離断端のpurse-string sutureを施行するという高い技術力を要する。したがって,TaTME修得の初期段階ではpurse-string sutureの不具合による不完全なSSTが生じやすい。腹腔側アプローチを腹腔鏡下で行う場合は,吻合直後に腹腔側から不完全な吻合部を介してガスの漏出(reversed air leak sign陽性)がみられる。われわれはその弱点を補う目的でステープラー吻合部に16針のreinforced sutureを掛けて縫合不全を低下させる取り組みを行っている。本稿ではその手術手技を紹介する。
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