手術症例報告
左三区域切除術を安全に施行し得た右側肝円索を伴う大腸癌多発肝転移の1例
上 翔太
1
,
大久保 悟志
1
,
児島 和孝
1
,
松村 優
1
,
進藤 潤一
1
,
橋本 雅司
1
1虎の門病院消化器外科
キーワード:
右側肝円索
,
左三区域切除術
,
転移性肝腫瘍
Keyword:
右側肝円索
,
左三区域切除術
,
転移性肝腫瘍
pp.341-345
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002665
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右側肝円索は肝の通常の発生過程で遺残する左側の臍静脈のかわりに右側の臍静脈が遺残することで発生する解剖学的変異と考えられている1,2)。右側肝円索症例では胆嚢が肝円索の左側に位置しているため1889年のHochstetterの報告以降,「左側胆嚢」として報告されることが多かった。しかしヒトの発生過程において,胆嚢は発生過程のごく早期に肝の正中に形成され,一度肝臓に飲み込まれたあとに再び肝外に現れてくるという発生過程をたどるため,胆嚢が肝臓の正中軸から移動することは物理的に考えにくく,発生学的観点から考えて位置異常があるのは胆嚢ではなく肝円索であり,近年では「右側肝円索」という呼称が正しいと認識されるようになっている1-3)。
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