特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
食道外科 1 胸腔鏡下食道癌根治術の最適アプローチ
大塚 耕司
1
,
小柳 和夫
2
1昭和大学医学部消化器・一般外科
2東海大学医学部消化器外科
pp.377-377
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001603
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当科では1996年より左側臥位を腹腔鏡下食道癌根治術の標準術式として,現在までに1,200例以上施行している。左側臥位は助手のスキルが求められることなどを理由に敬遠されることが多い。2010年に数例ほど腹臥位を取り入れたが,最終的には現在の人工気胸併用左側臥位を標準化し,良好な視野の確保と助手の難度軽減を実現し,出血量を含む手術成績も向上した。左側臥位における当科の特徴は,食道癌手術で最も重要な反回神経周囲リンパ節郭清において,反回神経を正常な位置から動かすことなく郭清する手技であり,これにより反回神経麻痺を大幅に減少させた。反回神経麻痺は誤嚥性肺炎を誘発する可能性が高く,反回神経麻痺を予防することは安全な胸腔鏡下食道癌手術を行うことにつながる。
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