特集 肝胆膵外科手術におけるトラブルシューティング
Ⅲ.膵臓 3)腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術における過大出血に対する対処法
森 泰寿
1
,
大塚 隆生
1
,
仲田 興平
1
,
宮坂 義浩
1
,
岡部 安博
1
,
中村 雅史
1
1九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科
キーワード:
腹腔鏡
,
膵頭十二指腸切除術
,
出血
Keyword:
腹腔鏡
,
膵頭十二指腸切除術
,
出血
pp.1063-1066
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001265
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1980年代より始まった消化器外科領域の腹腔鏡手術は,わが国でも胃癌や大腸癌を中心に広く普及してきており,手技の定型化や安全性の確保が固まりつつある。一方,腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(laparoscopic pancreatoduodenectomy;LPD)は,1996年のGagnerら1)による慢性膵炎に対する報告に端を発し,わが国では2016年に「脈管の合併切除およびリンパ節郭清を伴わない腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術」が保険収載されたばかりである。他の消化器疾患に対する腹腔鏡手術と比べるとわが国でのLPDの普及は遅れており,現状では厳格な施設基準によりハイボリュームセンターのなかでも限られた施設のみ実施可能となっている。膵頭十二指腸切除術においては,わずかな操作の誤りや判断ミスが患者の術後経過だけではなく予後にも影響する可能性がある。一方,術中出血量,術後在院日数などの短期成績は開腹手術と比べ優れているとの報告も散見されるようになってきた2,3)が,わが国での今後の普及に向け手術手技の定型化とLPDに特有の術中トラブルに対する対処法を熟知しておく必要がある。
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