5．膵頭十二指腸切除における膵消化管吻合 2）膵腸吻合の立場から

膵頭十二指腸切除術の膵消化管再建方法は，膵空腸吻合か膵胃吻合かの2択である。日本膵切研究会のアンケートの集計結果をもとにした報告によると，わが国では膵腸吻合を採用する施設が89.1％と一般的である1）。少数派ではあるが，再建臓器として胃が用いられる理由は，主に膵消化管再建の最も重篤な合併症である膵液漏への対策であろうと思われるが，膵腸吻合においては，粘膜吻合法のBlumgart法2）や陥入法3）など，手技の工夫により術後成績の向上が報告されている。膵空腸吻合は歴史的には膵胃吻合よりも古く，空腸はその長さと可動性から自由度が高いため，膵頭十二指腸切除術後の膵消化管再建にさまざまな利点があり，当科では1964年の開院以来，膵腸吻合を第一選択としてきた。