特集 誌上ディベート肝胆膵外科におけるcontroversial surgery
5.膵頭十二指腸切除における膵消化管吻合
川崎 洋太
1
,
千田 嘉毅
2
1鹿児島大学医歯学総合研究科消化器・乳腺甲状腺外科
2愛知県がんセンター中央病院消化器外科
pp.319-319
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001093
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膵消化管吻合法として膵腸吻合を選択する施設が多数派であるが,現在までの報告を顧みると臨床的術後膵液瘻発生防止に対し,膵腸吻合より膵胃吻合が有利である傾向が示されている。われわれは1987年より膵胃吻合を基本再建法として採用し,低い膵液瘻発症率を報告してきた。さらなる成績向上のため,2013年から胃後壁の水平マットレス吻合を利用したtwin square wrapping(TSW)法に改変している。2016年に改定されたInternational Study Group in Pancreatic Surgery(ISGPF)基準に基づくTSW法の成績は,grade B:2 / 150(1.3%),grade C:0 / 150(0%)であり,非常に良好な成績を収めている。膵胃吻合は膵腸吻合に比べ,視野確保や運針に慣れが必要であるが,胃後壁で膵切離断端を十分に密着させながら被覆する本吻合法は,手技が簡便で膵液瘻の少ない安全確実な術式である。
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